ミルフィーユ構造の材料科学

現代社会が直面するエネルギー問題の解決、持続性社会の実現へ向けて、
私たちの文明基盤を支える構造材料の高強度化・軽量化は材料科学分野が担うべき重要な課題です。
本領域では、「ミルフィーユ構造」における「キンク強化現象」を普遍的原理として確立し、
金属・高分子・セラミックスの3大材料にわたる次世代構造材料の創製へと展開していきます。
多様な分野の俊英が集うオールジャパンの体制で、各々が1+1»2となる真の共同研究を展開し、
モノ(ものづくり)とコト(新概念)の両面で世界を先導する新たな学問領域の創出を目指します。

News & Topics

2023.03.02ニュース
ニュースレター第9号が発行されました。
2023.03.01ニュース
令和4年度第三回軽金属学会「LPSO/MFS 構造材料研究部会」が開催されます。 (PDF版のお知らせはこちら) 続きを読む
日 時: 2023年3月29日(水) 13:30~16:30
テーマ: 「ミルフィーユ構造物質のキンク形成・強化の理論解析」
主 催: 軽金属学会「LPSO/MFS 構造材料研究部会」
高性能 Mg 合金創成加工研究会
共 催: 新学術MFSセミナー、日本金属学会「キンク研究会」、熊本大学 MRC&ILMセミナー
方 式: ZOOM による開催 (参加申込者へミーティング ID とパスワードを後日連絡)
申込法: 2023年3月22日(水)までに、申込フォームよりお申し込みください。
参加費: 無料
参加資格: 主催および共催関連の方のみ
*それ以外の方は、研究部会登録が必要です。詳しくは、事務局までお問い合わせください。
その他: 画面の録音・録画は厳禁
2023.02.28ニュース
「最新研究」のコーナーに新しい研究成果を多数追加しました。

本領域の概要

我が国で開発された、従来の常識を覆す高強度を示したLPSO構造型Mg合金(河村教授、熊本大)の研究を通して、①ミクロな硬質層・軟質層の相互積層により構築される「ミルフィーユ構造」の②高温加工による著しい材料強化現象「キンク強化現象」が見いだされました.本領域研究は、これら我々独自の着眼のさらなる展開を図るものです。キンク強化を新しい材料強化法として確立し、これに基づく材料創製をTi系、Al系を含む新規金属系材料、さらには高分子系・セラミックス系材料へと展開します。

① ミルフィーユ構造
ミクロスケールで、原子同士が強く結合した硬質層と、比較的弱く結合した軟質層との積層構造。パイ生地層(硬質層)とクリーム層(軟質層)が積層した「ミルフィーユ洋菓子」に例えた。

② キンク強化現象
変形により形成される、結晶が急峻に折れ曲がった「キンク」領域の導入によって材料が強化される現象。特異な層状構造(LPSO構造)を持つMg合金において初めて見いだされ、およそ半世紀ぶりの材料強化法の発見となった。

経験的ミルフィーユ条件
ミルフィーユ構造の物質が高い強度を持つための条件
 1. 硬質層と軟質層からなる層状構造であること
 2. 相間距離はサブミクロン程度以下であること
 3. 結晶の容易辷り系が層面に限定されていること
 4. キンク形成時において層間剥離を起こさないこと